ホーム›学ぶ›5. 資金繰り・資金予測›納税・社会保険料と資金繰り
学習記事|2. 資金管理|5. 資金繰り・資金予測

利益が計算される日と、
税金を払う日は違います。

だから、納税月は資金繰りが急に厳しくなります。

納税・社会保険料と資金繰り

難易度レベル2 資金管理 所要時間5分 前提知識資金繰り表の作り方(実務編)
⏱ 30秒で理解

法人税・消費税・源泉税・社会保険料は、利益が計算されるタイミングとは別の、決まった時期に、まとまった現金支出を発生させます。この支出を資金繰り表に事前に織り込んでおかないと、納税月に思わぬ資金不足を招きます。

さくらの決算月、何が重なるか

この記事では、さくらが3月決算・事業年度12か月で、前年度の納税実績から法人税・消費税とも中間申告が必要な会社である場合を例にします(条件が違えば、下で見るとおり回数も時期も変わります)。決算月(3月)から数か月の間には、次のような支払いが集中します。

支払い時期の例(3月決算の場合)実際の出金額(例)
法人税の確定申告・納付決算日(3月末)から2か月以内 → 5月末1億2,000万円
消費税の確定申告・納付決算日から2か月以内 → 5月末約192.3万円(今期の確定消費税額と中間納付額の差額。下記「消費税の中間申告」の解説を参照)
賞与(夏季)6月〜7月4,500万円
法人税の中間申告・納付事業年度開始(4月)から6か月後、その2か月以内 → 11月末(年1回)6,000万円
消費税の中間申告・納付同じく11月末(回数は下記の条件により変わる)約192.3万円(国税150万円+地方消費税42.3万円。下記の解説を参照)

これらは毎月発生する費用ではありません。だからこそ、資金繰り表に前もって書き込んでおかないと、「今月だけ急にお金が足りない」という事態を招きます。なお、この表の「実際の出金額」は、銀行口座から実際に出ていく金額です。消費税については、中間申告の回数を判定する基準(国税部分だけの金額)と、実際に口座から出ていく金額(国税+地方消費税)が異なるため、次の見出しで両者を分けて説明します。

法人税の中間申告:年1回だけ

法人税には、決算日から2か月以内に行う確定申告・納付のほか、事業年度が6か月を超える会社では、事業年度開始から6か月経過した日の翌日から2か月以内に行う中間申告・納付があります。中間申告は年1回だけで、前年度の法人税額が少ない会社(前年度実績を月割りして6倍した額が10万円以下)は中間申告が不要です。利益が大きい会社ほど、確定申告での納税額は大きくなります。

消費税の中間申告:会社によって回数がまったく違う

消費税の中間申告は、法人税とは別の基準で回数が決まります。前年度に確定した消費税額(地方消費税を含まない、国税部分だけの金額)に応じて、次のように変わります。

前年度の消費税額(国税部分)中間申告の回数1回あたりの中間納付額
48万円以下原則不要(任意で年1回を選べる)-
48万円超 400万円以下年1回前年度確定税額(国税部分)× 6/12
400万円超 4,800万円以下年3回前年度確定税額(国税部分)× 3/12(1回あたり)
4,800万円超年11回前年度確定税額(国税部分)× 1/12(1回あたり)

この記事のさくらは、前年度(3月決算の1期前の事業年度)の確定消費税額(国税部分)が300万円だったと仮定します。48万円超400万円以下の範囲に入るため、中間申告は年1回で、中間納付額(国税部分)は「300万円 × 6/12 = 150万円」になります。

「中間申告の回数を判定する金額」と「実際に払う金額」は別物

48万円・400万円・4,800万円という判定基準や、150万円という中間納付額は、どちらも地方消費税を含まない、国税部分だけの金額です。しかし、実際に銀行口座から出ていくお金は、消費税(国税)に地方消費税が上乗せされた金額になります。地方消費税は、消費税(国税)額の22/78の税率で計算されるため、次のようになります。

中間納付額(国税)
150万円
+
地方消費税相当額
42.3万円
150万円×22/78
=
実際の中間納付合計(出金額)
約192.3万円

資金繰り表に書き込むべきなのは、この約192.3万円(実際に口座から出ていく金額)です。150万円だけを資金繰り表に書き込むと、実際の出金額より42.3万円少なく見積もってしまいます。

前年度の消費税額(国税部分)が400万円を超える会社では、中間申告・納付が年3回や年11回になり、1回あたりの金額も資金繰り表への織り込み方もまったく変わります。また、消費税額は「預かった消費税と支払った消費税の差額」で決まり、会社の利益の額そのものとは別の基準です。利益が出ていない年でも消費税の納税が必要になることがあります。

5月末の「消費税の確定申告・納付」約192.3万円の内訳

上の表にある5月末の消費税確定申告・納付額は、当期(今回の決算対象事業年度)に実際に確定した消費税額から、すでに11月に納めた中間納付額を差し引いた残りです。この記事では、簡略化のため当期の消費税額も前期とほぼ同水準(国税ベースで年300万円程度)と仮定します。この仮定のもとでは、次のようになります。

当期の確定消費税額(合計)
約384.6万円
国税300万円+地方消費税約84.6万円
−
11月にすでに納めた中間納付額(合計)
約192.3万円
=
5月に追加で納める額(合計)
約192.3万円

年間の確定消費税額のうち半分(6/12)をすでに中間納付で払っているため、5月に残りの半分を納めることになり、結果として中間納付額とほぼ同額になります。当期の業績が前期から大きく変わる場合は、この確定申告時の金額も変わります。

源泉徴収税と社会保険料:毎月、確実に

社員の給与から天引きする源泉徴収税や、会社と社員が折半する社会保険料は、法人税・消費税と違って毎月発生します。源泉徴収税は、給与を支払った月の翌月10日までに納付します。社会保険料(健康保険・厚生年金保険料)は、原則として「ある月(対象月)分の保険料」を「その翌月の給与から控除」し、控除したその同じ翌月の末日までに納付します。たとえば4月分の保険料は、5月に支給する給与から控除し、5月末までに納付します。対象月と、控除・納付する月の間には1か月のずれがありますが、控除する月と納付する月は同じ月です。この1か月分のずれは、金額の変動が少なく予測しやすい一方、資金繰り表への織り込み漏れが起きやすい項目でもあります。

給与を支払う源泉徴収税を天引き→翌月10日ごろ源泉徴収税を納付→社会保険料も対象月の翌月の給与から控除し、同じ翌月末までに納付
社会保険料は、対象月の翌月に控除・納付がそろって発生します(対象月からは1か月のずれ)。

資金繰り表への反映のしかた

資金繰りとは何か(実務編)で見た資金繰り表の「経常収支」の中に、これらの納税・社会保険料の支払いを、支払月・金額とともに先に書き込んでおきます。さくらの例では、5月末(法人税・消費税の確定申告)と11月末(法人税・消費税の中間申告)の2つの山ができます。この2つの月は、賞与や他の支払いと重ならないかをあわせて確認しておく必要があります。事業年度の長さ・決算月・前年度の納税実績が違う会社では、この時期・回数は変わります。

確認問題

問:法人税の納税額が増えるのは、どのようなときですか?
次に学ぶ
13週間資金繰り表
→
情報源
  • 国税庁タックスアンサー No.6609「中間申告の方法」(発行:国税庁/nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6609.htm/2026年9月確認)-消費税の中間申告の回数(0/1/3/11回)と金額基準(48万円・400万円・4,800万円)の根拠
  • 国税庁「法人税の中間(予定)税額の算出方法について」(発行:国税庁/nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/24/04.htm/2026年9月確認)-法人税の中間申告が年1回・前年度実績基準であることの根拠
  • 国税庁タックスアンサー No.6303「消費税および地方消費税の税率」(発行:国税庁/nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6303.htm/2026年9月確認)-地方消費税が消費税(国税)額の22/78であることの根拠
  • 具体的な申告・納付義務の有無、金額基準、期限は、事業年度・前年度実績等の個別の状況により異なるため、一次資料または税理士への確認が必要です。
最終更新日:2026年9月5日|本記事の数値は架空企業「株式会社さくら」の設定値です。