格付は、
結果であり目標でもある。
一度取って終わりではなく、管理し続けます。
格付戦略
レベル3では、格付が会社の財務健全性を表す指標であることを学びました。財務部長は、格付を「勝手に決まるもの」として受け身で見るのではなく、望ましい格付水準を自分たちで決め、それを維持・向上させるために何をするかを戦略として管理します。
なぜ格付を戦略的に管理するのか
格付が下がると、社債やコマーシャルペーパーを発行するときの金利が上がり、借入の条件も厳しくなることがあります。逆に、格付が高いまま維持できれば、調達コストを抑えられ、資金調達戦略(前の記事)の選択肢も広がります。格付は「調達コストと選択肢の広さ」に直結するため、財務部長にとって管理すべき重要な指標です。
格付機関とどう向き合うか
格付機関は、会社の財務データだけでなく、事業の見通しや経営方針についても定期的にヒアリングを行います。財務部長は、格付機関に対して、業績や財務方針を正確に・一貫して説明する役割を担います。都合の悪い情報を隠すのではなく、リスクとその対応策をあわせて説明することで、格付機関からの信頼を維持します。
3つの立場から見る格付戦略
格付機関に説明する財務数値は正確か。
格付機関は決算書の数値をもとに評価するため、正確でタイムリーな決算が前提になる。
目標の格付水準に対して、今どこにいるか。
有利子負債の水準、EBITDAとの比率など、格付機関が重視する指標を定常的にモニタリングする。
格付と、成長投資はどうバランスするか。
格付を上げるために借入を減らしすぎると、成長投資の余地が狭まる。両方のバランスを経営として判断する。
もう少し詳しく:格付を上げることが常に正解とは限らない
格付が高いほど良いとは限りません。極端に借入を減らして格付を最高水準に保っても、それは手元資金を投資に使えていない、という見方もできます。財務部長・CFOは、「どの格付水準が、自社の事業戦略にとって適切か」を目標として設定し、その水準を安定して維持することを目指します。これは、レベル7で扱う資本構成・企業価値の議論につながります。
演習|誤りを見つける(演習専用設定)
次の社内メモには、この記事の内容と矛盾する誤りがあります。どこが誤っているか選んでください。
「当社は格付をできる限り最高水準に保つことを最優先とする。格付機関への説明は業績が良い時期に行えば十分であり、リスクに関する情報は開示を避ける。一度A格を取得できれば、以降は格付機関への確認や説明を継続する必要はない。」
確認問題
- 格付投資情報センター(R&I)「格付方法」(発行:株式会社格付投資情報センター/r-i.co.jp/rating/about/rating_method.html/2026年9月確認)-格付評価プロセスの根拠
- 格付戦略として複数機関を使い分ける実務上の考え方は、特定の一次資料に基づく解説ではなく、一般的な財務戦略の解説です。