銀行との関係は、
借りるときだけのものではない。
平時のつきあいが、有事の調達力を決めます。
銀行との関係管理(発展)
資金調達戦略(前々の記事)を実行するには、日頃から銀行との関係を管理しておく必要があります。「お金が必要になったときだけ相談する」のではなく、平時から取引銀行の構成・メインバンクとの関係を設計しておくことが、財務部長の仕事です。
複数行取引と、メインバンクの役割
会社は通常、複数の銀行と取引します。その中で、いちばん取引額が大きく、日頃から密接に相談する銀行をメインバンクと呼びます。メインバンクは、業績が厳しくなったときに最初に相談する相手であり、他の銀行の融資姿勢にも影響を与えることがあります。一方、他の取引銀行にも一定の取引を継続することで、メインバンクへの依存度を下げ、資金調達戦略の分散を保ちます。
平時の情報開示が、有事の対応力を決める
業績が好調なときも不調なときも、財務状況・事業計画を定期的に銀行へ説明しておくことで、いざ業績が悪化したときに「急に相談された」という不信感を避けられます。日頃から誠実に情報を開示している会社ほど、有事の際に銀行からの協力を得やすくなります。
3つの立場から見る銀行との関係管理
銀行へ説明する決算情報は、正確かつ迅速か。
銀行は定期的に試算表・決算書の提出を求める。経理の正確さと速さが、銀行からの信頼に直結する。
取引銀行の構成は、調達戦略と整合しているか。
メインバンクへの依存度、各行の融資姿勢の違いを把握し、資金調達戦略に反映する。
銀行との関係は、経営全体の選択肢を広げているか。
良好な銀行関係は、通常の調達だけでなく、危機時の追加融資や、M&A資金調達の相談先としても選択肢を広げる。
もう少し詳しく:取引銀行数は多いほど良いわけではない
取引銀行を増やしすぎると、条件交渉・報告業務の手間が増え、1行あたりの取引額が小さくなることで、各行からの関心・協力度も下がりやすくなります。会社の規模・調達額に対して、適切な行数と、その中でのメインバンクとの関係の深さを設計することが重要です。
演習|状況に応じた銀行対応を判断する(演習専用設定)
次の2つの状況で、財務部長として最も適切な対応を選んでください。
確認問題
財務部門の組織設計から、内部統制の統括、調達戦略、格付、資本構成まで、財務部長として「組織としてどう設計するか」という視点を学びました。次のレベル7「CFO」では、これらの判断を、企業価値というひとつの物差しで統合していきます。
- 一般的な企業と金融機関の関係管理(リレーションシップバンキング)に関する解説