会社にも、
今すぐ使えるお金があります。
それを、経理では「現金」と呼びます。
現金とは何か
会社の「現金」とは、今すぐ支払いに使えるお金のことです。財布の中の紙幣・硬貨だけでなく、銀行の普通預金のように、いつでもすぐ引き出せるお金も、経理では「現金」の仲間として扱います。
これから、株式会社さくらという架空の会社を主人公に、会社のお金の動きを一緒に見ていきます。まずは、さくらの手元にある現金100万円からスタートします。
株式会社さくらには、いま100万円あります
4月1日、株式会社さくらの現金は100万円です。この100万円は、この後1か月の間に、商品を仕入れたり、社員に給料を払ったり、パソコンを買ったりするために使われていきます。
「現金が100万円ある」というのは、「今すぐ、100万円分の支払いができる」ということです。これから読むすべての記事で、この100万円がどう動いていくかを追いかけていきます。
財布の中のお金だけではありません
「現金」と聞くと、紙幣や硬貨だけを思い浮かべるかもしれません。しかし経理でいう現金には、もう少し広い意味があります。
- 手元にある紙幣・硬貨:文字どおりの現金。
- 銀行の普通預金:ATMや振込で、いつでもすぐ使えるお金。これも「現金」の仲間として扱います(次の記事「預金とは何か」で詳しく説明します)。
- ごく短期間で満期になる定期預金など:現金同等物と呼ばれる、現金とほぼ同じに扱ってよいお金。
つまり「会社の現金は100万円」と言うとき、多くの場合それは金庫の中の紙幣ではなく、銀行口座にある「すぐ使えるお金」を指しています。
ここで言う「現金」は、キャッシュ・フロー計算書や、日常の会話で使う、広い意味での現金です。この後レベル1で仕訳を学ぶと、帳簿の上では現金(紙幣・硬貨)と普通預金は別々の勘定科目として記録することが分かります。同じ「現金」という言葉でも、「今すぐ使えるお金全体」を指しているのか、「紙幣・硬貨そのもの」を指しているのかは、話している場面によって変わります。まずはこの記事の広い意味での「現金」に慣れてください。
なぜ「現金」を最初に学ぶのか
会社が続けられるかどうかは、実は利益が出ているかどうかより先に、支払う日に現金があるかどうかで決まります。給料日に現金がなければ、給料を払えません。それがどれほど大変なことかは、後の記事「黒字なのに、なぜ会社のお金がなくなるのですか?」で詳しく見ていきます。まずは、この100万円という具体的な数字を覚えておいてください。
確認問題
- 企業会計基準委員会「連結キャッシュ・フロー計算書等の作成基準」(発行:企業会計審議会/asb-j.jp/jp/accounting_standards_system/details.html?topics_id=85/2026年9月確認)-現金及び現金同等物の範囲の考え方の根拠