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WORKING CAPITAL / CCC|Treasury Decision Simulator

運転資本計算

帳簿の残高から、
使えるCashを考える。

売掛金・在庫・買掛金を、回収までの日数と資金解放余地に変換する。経理の数字を、財務の意思決定へ。

レベル3 運転資本管理金額:億円/日数:365日基準

1. 残高と日数、二つのものさし

運転資本|営業が拘束する資金

売掛金 + 在庫 − 買掛金

売掛金は「売れたが未回収」、在庫は「仕入れたが未販売」。どちらも増えると資金を使います。買掛金が増えると、支払までの資金流出を遅らせられます。

ここでは営業運転資本を扱います。会計上の流動資産−流動負債全体とは範囲が異なり、現預金・借入・税金等を含みません。残高は原則として期首・期末などの平均を使います。

CCC|現金が戻るまでの日数

DSO + DIO − DPO

仕入先へ支払い、商品を販売し、顧客から回収するまで。営業活動へ投入した現金が再び現金へ戻る期間の目安です。

DSO=売掛金回収日数/DIO=在庫保有日数/DPO=買掛金支払日数。負のCCCは、仕入代金を払う前に売上を回収する状態を示す場合があります。

残高を減らすだけでなく、回収・販売・支払のタイミングを変える。この視点が、資金繰りと事業継続を結びます。

2. 年間フローと平均残高を入力

初期値は本ツール専用の学習仮定

年間売上803億円の事業を想定したReference Caseです。市場標準や推奨値ではありません。入力・計算はブラウザ内で完結し、送信・保存しません。

年365日で統一。年間売上・原価・掛仕入高は年間フロー、売掛金・在庫・買掛金は平均残高です。税込・税抜、期間、対象事業の範囲をそろえてください。

売掛金と対応する掛売上を基本とします。現金売上を含める場合、DSOは近似です。
在庫保有日数と在庫削減効果の分母。
年間掛仕入高を使用。
平均買掛金に対応する仕入。売上原価と同じとは限りません。
回収待ちの営業債権。0も入力できます。
販売前の資金拘束。原価ベースで統一。
仕入先へまだ支払っていない営業債務。

半角数字・小数可。空欄、カンマ、指数表記は不可。年間フローは0より大きく、残高は0以上。金額上限は各項目1,000万億円、入力・派生日数は3,650日まで。いずれも処理上の上限です。

3. 売上が同じでも、Cashは苦しくなる

年間の売上・原価・掛仕入高を固定し、回収遅延・在庫滞留・支払条件短縮だけを変えます。利益計上と現金回収の違いを切り分けるScenarioです。

STRESS / SEVEREの悪化日数を設定する
BASE|通常時

回収遅延 0日
追加在庫 0日
支払条件短縮 0日

入力した平均残高から現在日数を算出します。

STRESS
SEVERE

0以上の悪化幅を入力。SEVEREは各項目でSTRESS以上とします。支払短縮はBASEのDPOを超えられません。これはストレス仮定であり、実際の取引条件を予測した値ではありません。

改善を試す

入力・Scenario選択を変更すると自動で更新。金額は最大6桁、日数は最大4桁の小数で表示し、内部計算は丸めません。

入力すると計算結果を更新します。

4. 現状分析|資金拘束を読む

BASE|現在の資金拘束

PLの利益と、Cashの余裕は別の数字

BASE比の追加資金拘束は、平均残高増加の見込みです。必要手元資金の推奨額や実際の資金不足額を直接計算したものではありません。

5. 改善Scenario|何日変えられるか

同じ改善幅を3Scenarioへ適用します。改善が実現しても、ストレスによる資金拘束がすべて解消するとは限りません。

共通適用のためBASEの現在DSO以内。請求・検収・回収プロセスを見直す。
共通適用のためBASEの現在DIO以内。販売・生産・在庫の計画を整える。
仕入先と合意した支払条件の延長を想定。

BASE|改善をCashへ変換

合計Cash Improvement|資金解放見込み

平均残高を移行させた際の一度のCash効果です。毎年の利益・継続的なCFではなく、明日そのまま銀行残高が増えるという意味でもありません。

改善後に残る資金需要

各項目の日次フローが異なるため、「CCC改善日数×日次売上」ではCash効果を正しく計算できません。効果は実行費用・値引・売上変化・税金を控除する前の概算です。

詳細計算根拠を見る

6. 財務責任者としての読み方

目指すのはCCC最小化ではなく、事業継続とCash Efficiencyの最適点。部門ごとのKPIを、利益・取引条件・供給リスクと一緒に評価します。

DSO|営業・与信・経理

回収を早める

請求漏れ、検収待ち、争議債権を減らす。強すぎる回収条件は顧客関係・売上へ影響します。早期回収の値引やファクタリング費用もCash効果と比べます。

DIO|調達・生産・販売

滞留を減らす

在庫の回転とSKUを見直す。欠品・販売機会損失・供給途絶に必要な安全在庫まで削らないこと。評価損で帳簿を減らしても、その金額がCashとして戻るわけではありません。

DPO|調達・財務

支払条件を整える

仕入先との合意を前提に延長する。信用・供給安定性・早期支払値引とのトレードオフを確認。期限を守らない支払遅延を改善策として扱いません。

次の意思決定へ変換する

「何日」だけでなく「いくら・いつ・誰が実行するか」を決める。顧客別回収、SKU別在庫、仕入先別条件へ分解し、実行費用と資金解放の時期を13週間資金繰りへ落とします。

7. 必要手元資金との関係

  1. ① CCC悪化回収遅延・在庫増・支払条件短縮
  2. ② 運転資本増加営業に使う資金が増え、Cashを消費
  3. ③ 流動性を再検討必要手元資金・借入・RCFへの依存を確認

CCC悪化 → 運転資本増加 → Cash消費 → 必要手元資金の備えを再検討 → 借入・RCF依存度上昇、という経路を考えます。ただし平均残高の増分と、支払ピークに備えるバッファは別のものさしです。

この結果を既存の必要手元資金計算へ単純加算しないでください。既存ツールの回収遅延・支出増加と同じ資金需要を二重計上する可能性があります。日次・週次のタイミングを整理してから条件へ反映します。

8. CMSとの関係

運転資本計算

事業そのものがどれだけCashを拘束しているか。回収・在庫・支払のプロセスを改善し、営業から資金を解放する。

CMS導入効果計算

グループ内に存在するCashをどれだけ効率的に利用できるか。各社の必要手元資金を守り、内部融通と借入削減を検討する。

解放見込みをまだ実現していないCMS資金として計上しないこと。実現時期・移動制約・各社の支払を確認してから、使えるCashを判断します。

次に:CMS導入効果計算 — グループのCashを効率的に使う →

9. 前提と注意事項

安定した年間事業規模と平均残高で試算するモデルです。季節性、成長、日次入出金、為替、貸倒、在庫評価損、金利、税金、実行費用や売上変化を計算していません。決算日だけの残高を使うと、年間平均の資金拘束からずれる場合があります。

日数や運転資本が負でも、それだけで財務が安全とは判断できません。実際の回収可能性、在庫の換金性、支払契約、供給継続を確認してください。

計算式と定義を確認する

DSO=平均売掛金÷年間掛売上×365。DIO=平均在庫÷年間売上原価×365。DPO=平均買掛金÷年間掛仕入高×365(不明時のみ原価近似)。CCC=DSO+DIO−DPO。

Scenario平均残高=対応する年間フロー÷365×Scenario日数。営業運転資本=平均売掛金+平均在庫−平均買掛金。

売掛金Cash Release=年間掛売上÷365×DSO短縮。在庫Cash Release=年間売上原価÷365×DIO短縮。買掛金Cash Benefit=DPOの年間分母÷365×DPO延長。

合計Cash Improvement=3効果の合計=現在営業運転資本−改善後営業運転資本。CCC改善日数は3改善日数の合計です。

定義の参考:ACCA Working capital management、ACCA Ratio analysis。Case・改善幅は本ツール独自の仮定です。CCCの学習記事で背景を読む →

10. Reference Case|自分で再計算する

年間掛売上803、原価547.5、掛仕入547.5億円。日次掛売上2.2、日次原価・掛仕入1.5億円。BASE平均売掛99、在庫75、買掛90億円。改善はDSO−5、DIO−7、DPO+3日です。

BASE

悪化:0 / 0 / 0日
DSO 45 / DIO 50 / DPO 60日
CCC 35 → 20日

平均売掛99 / 在庫75 / 買掛90億円
運転資本 84 → 58億円
BASE比追加拘束 0億円

STRESS

悪化:+15 / +10 / −5日
DSO 60 / DIO 60 / DPO 55日
CCC 65 → 50日

平均売掛132 / 在庫90 / 買掛82.5億円
運転資本 139.5 → 113.5億円
BASE比追加拘束 55.5億円

SEVERE

悪化:+30 / +25 / −15日
DSO 75 / DIO 75 / DPO 45日
CCC 105 → 90日

平均売掛165 / 在庫112.5 / 買掛67.5億円
運転資本 210 → 184億円
BASE比追加拘束 126億円

各Scenarioの改善:売掛金11 + 在庫10.5 + 買掛金4.5 = 合計26億円/CCC改善15日

例:BASE DSO=99÷803×365=45日。売掛金の解放=803÷365×5=11億円。日次フローと改善幅が同じため、3Scenarioの改善額も同じです。改善後にもSTRESSで29.5、SEVEREで100億円の追加拘束がBASE現状比で残ります。

最終更新日:2026年10月4日|Working Capital V1 Reference Case。学習上の仮定で、市場標準ではありません。